臼澤みさき［里唄：TECE-3207］ / TEICHIKU RECORDS

LINER NOTES

「故郷～Blue Sky Homeland」でデビューして1年余り。中学3年生になった臼澤みさきは今も、ふるさと岩手に住んでいる。澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込み、はるかに広がる海を眺め、彼女を見守る人たちとともに暮らし続けているのだ。

幼い頃に習い始めた岩手の民謡は、聴く人の心を震わせる天性の歌声を育てた。その歌声の背景にあるのは、ふるさとの景色、歴史や風土、そこに生きる人々の想い……。彼女の「里唄」の原点である。

2枚目となるこのアルバムは、民謡、ポップスをはじめ、さまざまな要素が凝縮され、アーティスト臼澤みさきの魅力があふれる内容となっている。特筆すべきは、アルバム全体を通じてアイルランドの音が、彼女がめざす「里唄」として昇華されていることだろう。アイルランド民謡のメロディーをベースに作られたという「You raise me up」。そして、アイルランド民謡「Sally garden」に日本語の歌詞をのせた「サリーガーデン～ひとひらの願い」。どちらの楽曲も臼澤みさきが歌うと、まるで日本の民謡を聴いているかのように、胸に真っ直ぐ迫ってくる。また、厳しい自然ともに生きる人たちの心情を表現したオリジナル曲「三陸の子守唄」は、まさに北国に暮らす彼女にふさわしい、慈しみと愛にあふれた里唄である。いずれも聴く人を、懐かしい里山の風景を想いかえすような気持ちにさせてくれるのだ。

「里唄」。まだ、耳に新しいこの言葉も、アーティストとして臼澤みさきが成長するとともに、多くの人々の会話の中で聞かれるようになるのだろう。