どぶろっく・どぶろっかーず[「もしかしてだけど、バンドアルバム」ロングインタビュー] / TEICHIKU RECORDS

どぶろっく・どぶろっかーず
TEICHIKU RECORDS / テイチクレコード

LINER NOTES

人生を聴くプロがとらえた、どぶろっかーずの真実の姿。
「もしかしてだけど、バンドアルバム」発売記念、インタビュー全文掲載

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どぶろっかーず メンバー(写真 左から)

  • 樋口太陽(G)⇒(以降:太陽)
  • 木村亮一(B)⇒(以降:木村)
  • 森慎太郎(Vo,G)⇒(以降:森)
  • 江口直人(Vo)⇒(以降:江口)
  • 中村 皓(Dr)⇒(以降:中村)
  • 樋口聖典(G)⇒(以降:樋口)

どぶろっかーずの詳しいプロフィールは こちら


越智孝之

インタビュアー:越智孝之(おちたかゆき)

1982年、宮城県仙台市生まれ、広島県育ち。
大学では現代音楽を専攻。その後、大手IT企業に就職したものの、うつ病になり退職。その過程でコーチングを学び、2013年に独立。2年で300人以上のクライアントと向き合う。話を聴くプロフェッショナル。こころの境界線研究所 所長。

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ライブでのどぶろっかーず

―ライブの流れもみなさんで決めているんですか?

江口:基本は、中村さんがバンド的な流れを考えてくれているので、僕は毎回そこをちょこちょこといじってる感じです。

中村:僕は、江口さんの意志を大事にしたいと思ってます。今回、アルバムをつくったからこそのライブの流れってやっぱりあるんですよね。で、その中でどぶろっかーずの今のテーマみたいなことが見えてきたので、最近のライブではそこを意識した構成にしています。
例えば、いままでだと、別の下ネタ色の強い曲を最後に演奏していたんですけど、江口さんはどっか違和感があったみたいで。強い下ネタをいっちゃう生々しさと、もしかしたら誰かに迷惑をかけちゃいそうな危うさと。

江口:客をわざわざ離しちゃう必要はないかなって。好きな人は好きでしょうけど、嫌な人はいるでしょうから。場所とかにもよりますし、ちょっと考えましたね。

中村:その曲は、盛り上がるし、僕達も刺激を求めている部分があって、それがバンドの武器になってはいたんですけど、今は刺激的なエロを超えた愛みたいなものを表現できる曲が増えてきたから、自然とライブでの表現方法が変わってきたという感じです。

―既にある曲をとにかく演奏しようっていう段階から変化してきているんですね。

森:そうなんですよ。最初は、ほんとどうしていいかわかんなかったんです。で、客前に用意できる曲も当然エロいのばっかりだったし(笑)。とりあえず、盛り上げることが中心になってたんですよね。
でも、その盛り上げるっていうのが、ただ曲を演奏するだけじゃ、音楽のライブとしてはうまくいかないっていうことが段々わかってきて。そのときに、自分たちは全編通してずっと盛り上げるライブがしたいのか?って、バンドとしての壁にぶつかりましたよね。その議論の中で「盛り上げたい」っていうよりも「もっと聴かせたい」っていう風になったんです。

木村:盛り上げるパフォーマンスもやってはいるけど、前より、曲毎に意味を深く考えているところはあります。それは、アルバムをつくる中で、各人が一曲ごとの理解を深めていった結果なんだと思います。

―表面的なところから、もっと深い表現に変わってきたんですね。

江口:僕としては、このアルバムをつくるときに、ゆくゆくはライブでやるってことを想定して曲を書いたりしたので、アルバムの曲をライブでやるようになってきてから、どんどんバンドとして完成していっている気がしますね。
でもそれはほんと最近って感じです。いっても、まだライブ回数も数十回とかですから。ほとんど手探りで、毎回「これは違うかな」っていう繰り返しですよね。

―毎回、バージョンアップしていってるんですね。

木村:そうです。いってしまえば、今も試行錯誤してる最中って感じですね。でもそれを繰り返しながら、バンドとしては、かなり高まってきてるという確信はありますね。


アルバム「もしかしてだけど、バンドアルバム」

―アルバムの曲の流れも、かなり意識されたんですか?

樋口:基本はディレクターの古川さんが決めた感じですね。僕はそれを見たときに、全く問題なく受け入れられました。

中村:古川さんが、僕らを一番俯瞰で見てくれてますからね。メンバーのほうは、各自、アレンジの担当曲があったんで、全体を見る余裕がなかったんです。だから、古川さんがそういう役割をしてくれて、すごく助かりました。

樋口:完成間近まで、他のメンバーのアレンジはほとんどわかってなかったんですよね。

中村:曲の構成は古川さんに、おまかせしていたんですけど、僕の中で、この流れにしてほしいっていう部分が一箇所だけあって。それが僕の担当してた「モリンプロヴィゼーション」と「しこれども」の2曲だったんです。僕の中では、その2曲を続きにするといいなあと思ってたんですね。
それは僕の頭の中だけの構想だったんですけど、あるとき、曲順の話をしたときに、古川さんのほうから「『モリンプロヴィゼーション』の後に『しこれども』がいいと思ってるんですけどどうでしょう?」っていわれて!僕としては「でしょ!」ってなったんです。古川さんと僕らは、そういう感じで、思いがシンクロすることってよくあるんですよね。

―曲順について、どぶろっくのお二人はどう考えたんですか?

江口:前のアルバムも一緒のメンバーでつくってはいたので、古川さんを含めたスタッフとの意志疎通は既にできているとは思ってました。今回のアルバムの曲順についても古川さんから見せてもらったときに、「ああ、そうなるだろうな」っていう感じのしっくり感がありましたね。そういうところで信頼ができてるんです。

樋口:ただ、アルバムにいれる曲に関しては、けっこう直前まで、入れ替えたりしてたんですよ。

木村:ミックスが終わった段階で、曲を入れ替えたりしてましたからね。

―それはどの曲ですか?

樋口:一番最後の「本当に伝えたいこと(アカペラ・バージョン)」は、元々このアルバムにいれる予定じゃなかったんです。シングルの特典用の予定だったんです。
でも、完成した曲を聞いたときに、曲の仕上がりに感動してしまって、いろいろ想像してこれが最後の曲がいいんじゃないか?って思ったんです。すぐに古川さんに電話して、「提案なんですけど、この曲をアルバムに入れませんか?」っていったら、すぐに対応してくれたんです。その対応の速さと、意見を取り入れてくれたところに、ほんと感謝してます。

江口:古川さんは、色んなことを、すごく柔軟に考えてくれてますよね。

森:そして、僕らと波長があってる感じがするんですよね。同じ様なこだわりをもって、一緒に悩んでくれるんです。

樋口:あと、今回、アルバムとシングルの両方に入ってる「サヨナラ69」って曲があるんですけど、そのマスタリングについても、メンバーと古川さんのこだわりが入ってます。

※マスタリングとは:CDにする音の質感を決めるための最終工程のこと。

中村:そうそう。アレンジは僕がしたんですけど、マスタリングの仕方で、ビートルズ的なマスタリングとオアシス的なマスタリングで意見がわかれたんですね。そこについて古川さんと二人で議論して、結局、アルバムのほうをビートルズ的なマスタリングにして、シングルのほうはオアシス的なマスタリングにしたんですね。今回のアルバムは、みんながそれくらいこだわってつくったんです。

―みなさんの古川さんへの愛とアルバムへの思いがつたわってきました。


お笑い芸人、どぶろっくの音楽性について

―ちなみにどぶろっくのお二人はバンド用に曲をつくったりしているんですか?

江口:あんまりそこは意識してないですけどね。でも、このアルバムをつくるとき、バンドとして、どこに焦点をあてるべきかは悩みましたね。前回は、とにかくエロ面白いのを徹底して目指したんです。それはそれで、かなり突き詰められたとは思うんですけど、今回はちょっと違うアプローチをしないと意味がないなっていうのは感じていました。
例えば、2曲目の「ガラ・ルファ」とかは、笑えるネタかっていわれると弱いけど、音楽としてはよくて。どうするべきか、けっこう悩みましたね。

―そうですよね。お笑い的であり音楽的でありっていう、さじ加減ですよね。

江口:そうです。かなり悩みました。最終的には、そのどっちも目指したいなってところに焦点を当てたかったんで、バンドがなんとかしてくれるっていう信頼感で「しこれども」っていうどストレートな曲もメンバーに投げてみました。

―たしかにかなりどストレートなタイトルと歌詞ですよね(笑)。

中村:どストレートではあるんですけど、あの曲はほんといいんですよ……。

―こういう観点から愛を語ったJ-popって他にないですよね(笑)。

樋口:そもそもタイトルに「しこる」が入ってるJ-popないですから(笑)。

木村:そもそも、あっちゃいけないですから(笑)。

中村:この曲って一見ふざけてるじゃないですか。ぱっと聞いた感じマスターベーションのことを面白おかしく、ロマンチックに歌っている風に聞こえるんですけど、それを最後までやり通しているから、愛に昇華されてるんですよね。こんなにストレートにこのニュアンスを表現できてる曲って他にないと思うんです。確かに、片思いのラブソングはいっぱいあるんだけど、みんな言葉がキレイですよね。一方で、こういう下ネタだからこそ、逆に純粋に聴こえるっていう、そういう感じだと思うんです。
あるとき、この曲を俳優の友人に聞かせたことがありまして。彼は、じっくりきいた最後に、「ラブソングってこういうことだよね!」っていってくれたんです。仕事で言葉を扱う仕事の人に、伝わったっていうのが、すごく自信につながりましたね。

―メンバーがこんな風に思いを語ってくれていますけど、作曲者としてはいかがですか?

江口:いやー、ほんと作曲者冥利につきますよね……。しこれども……。

―ん?今、最後に、しみじみと曲名をつぶやきましたね(笑)。

木村:江口さんが書く曲の全部にこういう愛がある気がします。江口さんは照れてるんですよ。

樋口:普通、エロは服を脱ぐものですけど、江口さんはエロっていう服を着ちゃってるんです(笑)。

中村:江口さんの下ネタのよさっていうのは、誰にも迷惑かけないことだと思ってます。全部、家の中ですんじゃってる(笑)。「パンツが見たい」とはいうけど、「パンツを見る」とはいってないんですね。「見たい」で終わるんです。そこがいいんですよね。

―そうですよね。そのあと「ラララーラーララーラー」ですもんね(笑)。

木村:歌うことで満足してるってところがいいんです。

中村:そうそう(笑)。

樋口:このアルバムには入ってないんですけど、痴漢撲滅をテーマにした「やってはいけない!」という曲があって、最終的には「女子のお尻に触りたいけど触れないから、女子だと思って自分の尻を揉め」っていう歌詞があって、僕はこれがすっごく好きなんです。

―メンバーが歌詞に熱く共鳴していますね。熱気が伝わってきます。

江口:メンバーがこういう風に僕の曲を理解してくれるから、バンドが成り立ってるってところはありますよね……。

森:そうなんですよね。いままでは曲をつくった江口が、曲のことを自分で説明できなかったので(笑)。こんなふうにメンバー説明してくれるから、ほんとバンドにしてよかったなと思いますよね(笑)。

樋口:あら。いつのまにか我々が通訳になってたんですね(笑)。

木村:いやいや。だってゴッホに自分の絵の説明とかしてほしくないじゃないですか、やっぱり。

一同:(笑)

中村:ゴッホみたいに、死んでから評価されたりして(笑)。

一同:(笑)

木村:ゴッホは耳がなかったけど、江口さんは髪がなかったというね。そういうことですね。

―木村さん、ドキュメンタリーのポジションと一緒ですね(笑)。

※アルバムの特典ドキュメンタリーの主演は木村さん。

木村:まあ、なんかこういうポジションに自然になっちゃいましたね(笑)。

―こういう風に、江口さんのことをメンバーが語ってくれて、それを音にだしてくれるっていう状況がすごくいいですね。今、すごく温かい空気を感じています。

江口:ほんとに恵まれてると思いますね。アルバムをつくるときに、曲を担当してくれたメンバーには、先に僕の思いを伝えるんです。そうしたら、ちゃんとみんな理解して、反映してくれる。これは、ほんとありがたいんです。
実は、以前、他の方に楽曲のアレンジして頂いたこともあるんですけど、こんな風に世界観を共有できなかったんです。そういう経験があったんで、バンドを組むまでは、イメージを共有するっていうのは、ほんとに難しいことなんだと感じてたんです。でも、このメンバーは当たり前のように、わかってくれる。そこがほんとにありがたいんです……。

森:そうなんですよ。僕ら苦い経験がありましたから。バンドを組んで、すんなり理解してもらえるありがたさに気づきました……。

中村:どぶろっかーずの場合、6人がバラバラに集まったというか、どぶろっくさんと我々4人とのふたつのチームが合わさった感じでできてるんですね。どぶろっくのお二人は幼稚園時代からの繋がりだし、こちらも古くからの友人っていうこともあって、価値観をぶつけやすかったんですよね。

―ふたつのチームの価値観があっていたんでしょうね。そして、その2チームの波長がどんどんチューニングされて一つになっていったと。

樋口:そうなんです!

江口:世の中のバンドマンって、基本的に、我が強かったりするじゃないですか。僕、そういう人は実は苦手なんですよね。でも、このメンバーはそんなことなくて、今バンドを続けられてるのは、このメンバーだからってところはあります、ほんとに……。

樋口:そんなこといったら、他のバンドと対バンできなくなっちゃいますよ(笑)。

―お話をきいていると、お互いを認め合ってる感じがすごく伝わってきます。


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