MAYA / TEICHIKU RECORDS

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MAYA / しろいくろ
MAYA / アルバム「しろいくろ」トレーラー

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幅広いジャンルを独自の世界観で歌い上げる意欲作!アルバム「しろいくろ」2019年5月15日(水)発売!
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MAYA

しろいくろ

2019年5月15日(水)発売

ジャケット
ジャケット

幅広いジャンルを独自の世界観で歌い上げるMAYAが初めて挑んだオリジナル曲集!

MAYA自身の作詞・作曲の他、山崎ハコ、遠藤響子などが楽曲を提供。バラード、ブルース、ラテン、エスニックなど幅広いジャンルをMAYA独自の世界観で歌い上げる意欲作。
日本を代表するジャズミュージシャン達の演奏と臨場感溢れる高音質録音も注目です。

商品データ

  • TECE-3530 / 定価:¥2,778+税 / アルバムCD

詳細は discography をご覧下さい。

ライナーノーツ

MAYA「しろいくろ」解説 ―鳥井賀句

「ヒトリという名のトリが / 別のヒトリと出会う時 / 透明なぬくもりに包まれる / 壊れやすいものと知りながら…」アルバム冒頭に歌われる「ヒトリという名のトリ」という曲が頭にこびりついて離れない。 この曲は本アルバムの主人公のMAYAの作詞になる曲だ。暗い情念の歌を書かせたらぴか一の山崎ハコによるメロディに溶け合いながら、この歌は冒頭から静かに深い印象を聴く者に与える。 歌われている内容はたぶん事情を抱えた恋人たちの別れの寂しさといとおしさを歌ったものだろうが、私にはこの歌が、今回のMAYAのニュー・アルバムの全体像を伝えているようにも聴こえる。 つまり歌われている歌は一人の女性が体験した恋の終わりや人生の機微を歌ったものでも、それはそれぞれの歌の主人公たちと同じように、「ヒトリ」という孤独を抱えた我々自身の物語であり、「壊れやすいもの」を抱えながら、「透明なぬくもり」を求め続けている我々「ヒトリ」たちへ向けての歌であるからだ。 そういった意味で、このMAYAのアルバム『しろいくろ』は、単にジャズ・シンガーMAYAが初めての書下ろしオリジナル楽曲に挑戦した意欲作という前に、「ヒトリ」という人間存在の原点に立ち返り、それぞれの「ヒトリ」のリスナーたちへ「透明なぬくもり」を届けようとする実にスピリチャルなアルバムになっていることに、私はまず心を動かされた。

このアルバムのプロデュースを手掛けた寺本幸司は「ひとこと」と題した小文を寄せている。 そこで彼は「制作するにあたって、意識したことは、ダーゲットを37才から47才の女性に絞ったことです。この年齢層の人たちは、思春期時代から青春時代にかけて、バブル最盛期とその崩壊を躰ごと経験した世代です。また、アナログからデジタル時代に移行する狭間も経験した世代です。彼女らは、とつぜん信じるものを失い、最後は自分を信じるしかない、と闘い生きてきた世代です。個として群れることなく、繋がって行こうと生きてきた世代です…」

60-70年代から浅川マキやりりィ、桑名正博等、多くの個性的で魅力的なミュージシャンたちを発掘し育ててきた寺本幸司は、本作でジャズ・シンガーMAYAの隠れた魅力と才能を押し出したと同時に、現代という不毛の時代に蠢く我々に向けて「ヒトリ」「ヒトリ」がぬくもりを求め、繋がって行こうというメッセージを静かに投げかけた見事なアルバムを作り上げた。

2004年にメジャー・デヴューし、9か国語でジャズやラテンを歌えるスキルを持ち、今までに16枚のアルバムを発表し、ジャズの名門誌であった「Swing Journal」で2度のゴールド・ディスクを獲得し、ジャズ・ディスク大賞やボーカル賞にも輝いてきたMAYAだが、その彼女が初めて日本語のカヴァー曲ばかりを歌って発表したのが2017年12月発売のライヴ・アルバム『LIVE MAYA』だった。 そのアルバムがMAYAと寺本氏の出会いでもあったわけだが、寺本氏はMAYAに日本語で歌わせることで彼女のシンガー、表現者としての新たな魅力を開花させたのだった。実際私もそのアルバムがなかったら、たぶんMAYAのことは知らないままだっただろう。

古いジャズ・ファンの中には洋楽のカヴァーを外国語で歌うのがジャズで、日本語の歌謡曲やJ-POPをジャズ・アレンジで歌ったそのアルバムに拒否反応を持った人たちもいたと聞く。 我々には即座に歌詞の意味は伝わらない外国語の歌と違い、日本語で歌われた歌には言葉の意味性が加わってくるので、歌詞により繊細な感情移入や言葉の余韻が求められることになる。 寺本氏に誘われたライヴで初めてMAYAが日本語で歌うアメリカの有名な娼婦の歌「朝日のあたる家」を聴いたとき、この難しい歌を変に大上段にはならずに、クールに歌いきっていた彼女の表現力に関心させられた。 日本語で歌うということは、ある意味で数分間の歌というドラマの主人公を演じ歌いきることでもある。それには単なるスキルよりも歌詞への深い解釈と歌の主人公に乗り移れる想像力と表現力が必要になってくる。MAYAは日本語でも見事に歌いきっていた。

今作ではMAYAは「ヒトリという名のトリ」の作詞と「しろいくろ」の作詞・作曲、「ジャズマンブルース」の作詞を手がけ、ソング・ライターとしての新たな魅力を提示してみせている。 短い詞だが、前2曲では、彼女の持つ文学的な感受性が感じられるし、人間の内面を見つめようとする彼女の精神性が強く表れている。最後の曲は周りの夢追うジャズ・ミュージシャンたちを戯画的に歌った歌で、彼女のユーモアのセンスも楽しい。今後シンガーだけでなく、ソング・ライターとしてのMAYAにも期待したいところだ。

他の曲はジャズ、ラテン、フォーク、ロック…とバラエティに富んだ楽曲が並ぶが、寺本氏が自身の幅広い人脈から依頼した楽曲が集められている。どれもなかなか聴き応えのある作品ばかりだ。 作詞・作曲で「夢の中」等3曲を提供している遠藤響子は80年代に「雪が降るまえに」のヒットを飛ばし、小川範子や酒井法子等に楽曲を提供してきたシンガー・ソングライターで女優。 「デザートローズ」の作詞の石原信一は森昌子の「越冬つばめ」で知られる大御所の作詞家、同曲の作曲の彩木雅夫は内山田洋とクール・ファイブの「長崎は今日も雨だった」等でおなじみのこれまた大御所作曲家。 「HON-NE(ホンネ)」の作詞の林あまりは歌人として知られるが、作詞家としても坂本冬美の「夜桜お七」等のヒットがある。同曲の作曲の谷村庸平は乃木坂46等に作曲する他、サックス奏者としても知られる。 また彼との共作曲「The Life in a day」の作詞の森永博志は創刊当時の「POPEYE」や「BURUTUS」等の編集者として知られ、作家としても著書多数。 MAYAの「ジャズマンブルース」の作曲は本作でベースを弾いているジャズマンの新岡誠。 また今作の唯一のカヴァー曲である「La Mentira」は、グラミー賞ラテン部門の受賞歴のあるメキシコ人歌手ルイス・ミゲルもカヴァーしていた曲で、作曲者はメキシコの有名なソングライター、アルバロ・カリージョで、この曲の英語ヴァージョンは「Yellow Days」というタイトルでフランク・シナトラも1968年にカヴァーしているラテン・ジャズのスタンダードである。 最後に手前味噌ながら「本牧ドール」を作詞・作曲したのは筆者、鳥井賀句。音楽評論の傍ら、歌謡ロック・バンドPEACOCK BABIESでも活動している。寺本氏から「娼婦の歌を書いてくれ」と依頼され、戦後横浜の伝説の娼婦「ヨコハマメリー」などをイメージして書いてみた。

本作で素晴らしい演奏を聴かせるミュージシャンたちにも触れておかねばなるまい。 殆どの曲のバックに参加し、本作のサウンド・プロデューサーを務めるのがジャズ・ドラマーとして長いキャリアを誇り、自らの松尾明 & Take Tenを率いる松尾明。 マーサ三宅やMAYA等、歌もの系のバックでも的確なプロデュースをしてきた。そのTake Tenでピアノを担当するのが二村希一と、三四郎や山田壮晃等とも活動歴のあるベーシストの新岡誠、この3人が本作のレコーディングの中核を成す。 テナー・サックスとフルートの高橋康廣とトロンボーンの内田光昭も松尾明 & Take Tenのメンバーで、人間味に溢れるプレイが素晴らしい。 ギターの関根彰良はフラメンコ・ギターやジャズ・ギターの名手。ヴァイオリンの森里子はペギー葉山や広瀬香美他CMのバック等幅広く活躍、セロの平山織絵は向井慈春のジャズ・バンドを経てCanta Chico等様々なプロジェクトで活動中。 コーラスの花れんは様々なアーティストのコーラス・アレンジを手がける他、自身もシンガー & ソングライターとして楽曲を提供したりアニメ主題歌や舞台でも幅広く活動中。 そしてパーカッションの浜口茂外也は、数多くの日本のロック、ジャズ、フォーク等のレコーディングに参加している名うてのパーカッショニスト。70年代は細野晴臣率いるティン・パン・アレーにも参加していた。

最後にどうしても書いておきたいのが録音の素晴らしさだ。まるで小さなスタジオの中でMAYAとミュージシャンたちに囲まれて彼らが歌い演奏するのをその横で聴いているかのような臨場感に圧倒される。 ドラムのリム・ショットやウッド・ベースの弦のアタック音や、ピアノの鍵盤がシンコぺし、サックスのブロウする音が、耳の奥でダイレクトに感じ取れる。 MAYAのヴォーカルもまるで耳元で歌われているみたいだ。最近これほどまでに臨場感のある録音は聴いたことがなかった。 なんでも今回のレコーディングにはAcoustic Revive,クリプトン、日本音響エンジニアリング、オーディオ評論家林正儀氏ら、最高峰の音響スタッフが関わり、1m100万円もするマイク・ケーブルの他、最高の録音機材が使用されたという。結果は文句のない素晴らしい音になっている。

さて、私の長ったらしい解説はそろそろ終わりにしよう。ただ一言シンプルに言うならば、このアルバムは素晴らしい表現力を持った歌手MAYAと、その歌を的確にサポートする名うてのミュージシャンたちと、時代へのメッセージを持ったプロデューサーと、そのアルバムのコンセプトに合致した歌が見事に手を結びあって生まれた名作であるということだ。 ジャズがどうだ、ロックがどうだ、ラテンがどうだ、歌謡曲がどうだ…なんてつまらないジャンル分けや分類など意味のないことだ。心を持った歌い手と心を込めた歌がここにある。それが聴く者の心に伝われば、それ以上何を望むというのだ。
MAYAのニュー・アルバム『しろいくろ』は、聴く者の心に必ず伝わるだろう、私はそう強く確信している。

鳥井賀句

MAYAは "ザ・ベストシンガー" である! ―富澤一誠

仕事柄たくさんのCDが送られて来るが、そんな中の1枚に「LIVE MAYA」という2枚組(CD+DVD)があった。送り主は旧知のプロデューサーでメモが1枚入っていてこんなことが走り書きされていた。
「今、ぼくは昭和そのものではなく、60年代後半から70年にかけての時代の『生き様』仕事にかけています。この『LIVE MAYA』も、そのひとつです。何か面白い展開になればなあと思っています」
目利き、耳利きプロデューサーと永年敬服している人だけにまずは聴いてみることにした。紙資料も何もないのでとにかく聴いてみた。感想は「何だ、これは?」だった。 何とも言えない魅力ある声、そしてすごく心に響いたのは、鋼のような芯が強い彼女のボーカルだった。 ちらっと〈ジャズ・シンガー〉と聴いていたので「えっ!これがジャズ?」と思えたことも事実だ。
話は変わるが、「何だ、これは?」と思ったものに関しては私はノルことにしている。なぜかというと、「何だ、これは?」と思ったということは私のこれまでのファイルにはなかったものだということ。 私は音楽評論家として48年というキャリアを持っているので、ほとんどの音楽は知っているつもりだしファイルされている。だから、解説しろと言われればいつでもできる。 しかしながら、私のファイルに保管されていないものに関しては「何だ、これは?」ということになる。 結論から言うと、「何だ、これは?」ということは最大の誉め言葉なのだ。正直に言って、私はMAYAのようなシンガーをこれまで聴いたことがないということだ。
〈鋼のような芯の強いボーカル〉、なぜこんな "すごい" ボーカルが生まれたのか?私は知りたいと思った。それには何をおいてもライブを見てみることだ。

2018年5月24日、原宿のラドンナでMAYAの〈お薦め♪スペシャルLive〉を見た。松尾明(ドラムス)を中心とする交流の深いジャズ・ミュージシャンとのコラボレーション・ライブは、私の予想をはるかに超えるものだった。 「LIVE MAYA」で収録曲やDVDで最新ライブ映像を見て聴いていたのでイメージはつかんでいたが、ライブはリアリティーがあって、「何だ、これは?」という思いは強くなるばかりだった。 CDやDVDを見て聴いて、ライブを見ればほとんどが理解できるはずだが、なぜかMAYAはそうではなかった。それだけにもっと彼女のことを知りたいと思った。
それにしても〈鋼のような芯の強いボーカル〉はどこから生まれてくるのか?それがあって彼女の歌は唯一無二のオンリーワンの〈すごい歌〉となっているのだ。ライブを見ながら、私はだからこそ〈オリジナル・ソング〉を聴きたいと思ってしまったのだ。スタンダードナンバーやヒット曲のカヴァーもいい。カヴァーを超えてMAYAのオリジナルにまで昇華されているからだ。カヴァーでこれだけ〈すごい歌〉を歌えるなら、オリジナルだとどのくらい〈すごい歌〉になってしまうのか予想ができない。 そんなふうに思っていたときに、タイミング良くプロデューサーから「しろいくろ」というアルバムが送られてきた。こんなメモが添えられていた。
「MAYAのオリジナル・アルバムがやっと完成しました。ちょっと勝負したい気分です」
彼女の作詞作曲をした曲を含めて全11曲。どの曲にも彼女の生きざまが凝縮されている。それだけに毛細血管の隅々にまで血が流れていて見事なまでに歌が息づいている。その意味で、彼女の歌は歌を超えて自分の人生そのものである。 いい曲、イコール、いい歌ではない。いい曲はそれにふさわしい歌い手に歌われて初めていい歌となり、たくさんの人々のハートを鷲づかみにするのだ。これは私の持論だが、まさしくMAYAは、その意味で〈ザ・ベストシンガー〉である。
アルバム「しろいくろ」を聴きこんでいるうちに〈鋼のような芯が強いボーカル〉がなぜ生まれてきたのかわかることだろう。ナンバーワンを超えたオンリーワンの〈ザ・ベストシンガー〉、それがMAYAである。

富澤一誠