岡本文弥 新内珠玉集:プロフィール / TEICHIKU ENTERTAINMENT

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PROFILE

岡本文弥
おかもと ぶんや

岡本文弥 写真

明治28年 1月1日 東京下谷谷中上三崎南町に生れる。本名井上猛一。父は井上源次郎。土木請負業。母は寅年生れで本名とら。芸名鶴賀若吉。新内師匠。

明治35年 山梨県東山梨郡鶴瀬村に移住。笹子トンネル西口工事のため。4月鶴瀬初鹿野(はじかの)尋常小学校入学。

明治39年 東京へ帰る。本所番場町、のち若宮町に住む。

明治41年 本郷区根津片町へ転居。4月京華中学に入学。

大正2年 京華中学卒業。中央新聞校正係などを勤めつつ、門前の小僧風に新内節を習得し富士松加賀路太夫。同時に文学少年にて、荷風、白秋に傾倒。『秀才文壇』『文章世界』などに投書していた。

大正5年 『婦人雑誌』をやめ『秀才文壇』の文光堂に勤め、編集をしながら新内はセミプロ。

大正7年 母、富士松加賀八と改名。

大正11年 そろそろ新内がおもしろくなり、四谷大黒座の出語りでタテをつとめる。

大正12年 4月富士松を去り岡本派を再興、文弥を名乗る。母、宮染と改める。5月法木書店より『新内夜話』出版。9月大震災。文光堂もダメになり、これより新内一途となる。

昭和5年 このころより新作を多数発表。「西部戦線異状なし」「太陽のない町」「ほえろ百姓」「アジアの嵐」「磔茂左衛門」など。左翼新内、プロレタリア新内と世間の話題になる。

昭和10年 5月父没。このころより新内舞踊の作品を書き始める。その初めが昭和11年の「滝の白糸」と「唐人お吉」。藤間勘妙とのコンビ多い。

昭和15年 戦争気分濃厚となり、10月で三越ホ-ル使用は不可。戦争中は新内での生活は不可能。移動演劇舞台座に身を寄せ、俳優として各地を巡演。戦後も転々として住所も定まらず。苦労はお互いさま。

昭和23年 2月上野飯田会館(骨董品店階上)にて新内鑑賞会発足。藤根道雄氏の解説を添える。演奏会に解説をつけるハシリ。

昭和25年 4月谷中坂町77新居へ移る。12月母没、85歳。

昭和29年 4月ぶんや作品150番突破記念の内祝いの会。このころより芝居の出語り、寄席出演、地方巡演など多くなる。

昭和32年 3月芸術選奨文部大臣賞を受賞。また「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財保持者」に認定される。

昭和37年 随筆『芸渡世』、句集『びんぼうにんじょうぼん』出版。新作「なめくじとしん生」など。

昭和39年 日本民族芸能代表として初めて中国を訪問(昭和41年にも)。

昭和40年 随筆『縁でこそあれ』出版。

昭和42年 『遊里新内考』出版。中国文化大革命のため訪中不可能。

昭和43年 11月紫綬褒章受賞。

昭和44年 『定本新内集』出版。

昭和45年 『芸人ふぜい帖』出版。

昭和46年 芸術祭参加ニッポン放送「円朝恋供養」(大西信行作詞)優秀賞受賞。

昭和47年 『芸流し、人生流し』出版。

昭和48年 『新内四季』『ぶんやの邦楽手帖』『新内曲符考』出版。

昭和49年 勲四等旭日小綬章授章。

昭和50年 『文弥芸談』再版。

昭和54年 新内研究書『新内浄瑠璃古正本考』出版。

昭和55年 『ぶんやぞうし』出版。大阪文化祭参加「新内と明治文化」。文化賞授賞。

昭和56年 テイチクレコード「新内古典選」発売。

昭和57年 随筆集『こちよれまくら』出版。

昭和58年 9月訪中。

昭和59年 随筆集『谷中寺町私の四季』出版。10月訪中。

昭和60年 11月訪中。

昭和61年 随筆集『桃栗三年あと八年』出版。10月訪中。中国曲芸家協会より栄誉会員の称号を受ける。

昭和62年 4月中国曲芸家協会代表七人を迎えて演奏会、座談会。5月本牧亭にて「文弥を解剖する会」永六輔、松本克平、大野桂氏の座談会。

昭和63年 2月19日夜NHK総合テレビ「鬼怒川昔噂」(累亡霊法印場)、三味線宮染、宮之助。解説竹内道敬氏。3月松尾芸能賞特別賞受賞。

平成元年 6月句集『汗駄句々々』出版。「本牧亭ありがとう、さよなら」の会を、6、8、10月に開催。12月本牧亭自主公演「行倒れ淀君」演奏。これで本牧亭のすべて終わる。

平成2年 9月浅草公園木馬亭にて小公演、一葉二題「店びらき・夜ざくら」。『ぶんやの邦楽いろは歌留多』出版。

平成3年 12月5日ABC会館にて「冬の夜話・たぬき」(松賀慈童演)出語り。高齢熱演、大好評。

平成4年 数えで九十八歳の新年を迎える。邦楽界高齢第一の現役として祝福を受ける。テイチクレコードから「新内ぶし特集<第一巻>~<第五巻>」、CD5枚発売。

平成5年 数えで九十九歳の新年を迎える。1月21日白寿記念出版歌集『味噌・人・文字』の出版記念会がお茶の水「山の上ホテル」で開催される。3月「新内ぶし特集<第六巻>」、4月「岡本文弥白寿記念十八番新内二題」テイチクレコードより発売。

平成8年 10月6日没、百一歳。

主な作曲作品

藤十郎の恋 昭和7年

行倒れ淀君 昭和10年

滝の白糸 昭和11年

お吉人情本 昭和12年

加賀の千代 昭和12年

人生劇場 昭和12年

一茶 昭和12年

富本豊志賀 昭和14年

宮古路豊後掾 昭和15年

ふるあめりか 昭和16年

芭蕉 昭和16年

春霞由良湊 昭和17年

辰巳巷談 昭和25年

今戸心中 昭和26年

次郎吉ざんげ 昭和28年

絵島生島(えじまいくしま) 昭和29年

十三夜 昭和30年

おさん茂兵衛 昭和30年

河童の道行 昭和30年

耳なし芳一 昭和31年

鶴女房 昭和34年

なめくじと志ん生 昭和37年

あばらかべっそん 昭和38年

にごりえ 昭和38年

西方寺縁起(長沢九一郎作詞) 昭和42年

花暦八笑人(永井啓夫作詞) 昭和43年

円朝恋供養 昭和46年

一葉二題(店びらき・夜ざくら) 平成2年

お蔦返り咲き 平成3年

冬の夜話(たぬき) 平成3年

ぶんや・ありらん 平成4年