三遊亭小遊三[「汲みたて」「味噌蔵」:TEBR-36065]


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「汲みたて」「味噌蔵」

「汲みたて」「味噌蔵」 ジャケット写真

2016-04-20 / TEBR-36065 / ¥3,333+税 / DVD

新撮影DVD7作目。
今作も得意とする江戸下町を背景とした滑稽噺を収録。

  • 2015年12月8日 国立演芸場にて収録
  1. 汲みたて
    音楽試聴(WMA) 対応 映像視聴(WMV) 対応

    江戸の町は今で言う「生涯学習社会」であり、八っあん、熊さんたち職人の間でも稽古事が盛んだった。音曲を習う『稽古屋』、なんとあくびを習う『あくび指南』など稽古風景の馬鹿馬鹿しさを描いた噺もあるくらい、素養のない町内の連中でも勇んで通っていたようだ。

    なにしろ女性が少ない男社会の江戸だから、女師匠となると大人気。三遊亭円朝作の名高い怪談噺『真景累ケ淵』に出てくる富本節(浄瑠璃の流派のひとつ)の師匠・豊志賀は年増ながら美しい。この『汲みたて』の女師匠も、その美貌目当てで弟子が集まっていたのだろう。小遊三の軽妙な描写により、不純な動機で通い詰めるむさ苦しい独身男たちの下心が賑やかに示される。

    そこへ建具屋の半公が抜け駆けして師匠と懇ろになるのだから、さあ皆は納まらない。男同士の嫉妬は始末に負えぬという。町内のアイドルを取られて口惜しい連中のエキサイトぶりに対し、傍観者として登場する与太郎の存在が笑いを増幅する。さて、川舟で夕涼みとしゃれ込む師匠と半公の邪魔をしようとする企みは成功するや否や…。

    いささか汚いものの、とぼけたサゲを効かせるのは当時川筋を往来した「汚穢(おわい)舟」だ。大都市江戸が生んだ糞尿は、貴重な肥料として売買され舟で農村へ運ばれていたのである。

    解説:寺脇 研

  2. 味噌蔵
    音楽試聴(WMA) 対応 映像視聴(WMV) 対応

    特に商人は勤倹に励んで財をなすのが一般的には美徳だったから、創業者には倹約家が多かった。『鼠穴』の田舎から出てきた主人公が、藁で草鞋を作って売るところから徐々に商売を広げていく過程などお手本のようなものだろう。だがそれも、度を過ぎると吝嗇(=ケチ)になる。貧しい庶民の側から見れば、からかいたくもなろうというものだ。そんなわけでケチを扱った落語はいろいろある。

    中でこの『味噌蔵』の主人・しわい屋ケチ兵衛(「しわい」とは上方言葉でケチのこと)は、ケチとはいえ憎めない面がないわけではない。「五十になろうというのに」独身でいたのは、一生懸命働いてきたからだろう。親戚に強要され嫁を貰うときも婚礼費用は親戚持ち、子どもができると費用がかかると新婚初夜から夫婦床を別にするという徹底ぶりを貫きながら、出費を惜しんだ煎餅蒲団の寒さに耐えかね妻の温かい綿入れ蒲団にもぐり込んだために懐妊させてしまうところがご愛敬だ。

    そしてこの噺、楽しいのは主人の留守に奉公人たちが宴会を始める場面である。日頃おかずにさえありつけない可哀想な彼らがここぞとばかり誂えるのは、刺身、鯛の塩焼き、木の芽田楽、酢の物、寿司… 。降って湧いたような祝宴に有頂天の宴席が目に浮かぶ。主人の抑圧から逃れるひとときが、小遊三の陽気な話の運びで聴いていて実にうれしい。

    解説:寺脇 研


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