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Youjeen


プロフィール

Youjeen
Youjeen アーティスト写真

—歴史の狭間で燦然と輝きつづける永遠の「刹那」—

「ロック・ディーヴァ」という概念なんてほとんど構築されていなかった頃の話だ。

第一印象は、過敏で神経質で、それでいて第三者に愛おしさを感じさせずにはいられない、小動物のような警戒心のバリアーだった。
でも同時に、その少女の子供のような大胆さで、壁の向こう側からこちらを伺う強い視線、おさえきれない好奇心。
素顔の彼女、子供っぽさの抜けない愛らしい面影からは、あの凄まじいパフォーマンスはとても予想はできなかった。

2000年暮。
「韓流ブーム」の兆しすらなかった日本に、英語の先生の資格を得るための大学の修業を終えたばかりのその少女は、韓国からやってきた。
そして2年間というあまりにも短い時間の中で、彼女は周りにあるもの全てを燃やし尽くすかのようなパッションを放ちながら、混迷の日本の音楽シーンを駆け抜けた。
「ロック」という激情のガソリンに身を投じて。この異国=日本において。

2001年。
解散したばかりのLUNA SEAのベーシストであったJが、弛緩した日本のロックシーンに喝を入れるべく立ち上げた「FIRE WIRE」という一大プロジェクトがあった。
音楽ビジネスの既存の枠に捕らわれないことを旨としたそのプロジェクトは、その理念を持って全国TOURを行ない、そしてその終盤には、あのセックス・ピストルズのギタリストであったスティーヴ・ジョーンズや、元カルトのヴォーカリスト=イアン・アストベリーまでをも巻き込み、信じられないくらいのロックンロール・ドリームを紡ぎ出していった。
少女はその一大イベントの狼煙をあげた2001年1月赤坂BLITZにおいて、居合わせた全ての観客が「LUNA SEAのその後」を見極めようとする緊迫感の中で、満場のフロアに唐突に轟音の洗礼を浴びせ、ここ日本でその「歌」の産声を上げさせた。
少女が当日出演することも、少女が誰かも、そしてJのプロデュースでデビューすることすらも、一切のインフォメーションの与えられてなかった全てのオーディエンスを圧倒し、『WITCH』、『HEY JERKS』というたったの2曲のパフォーマンスで、空気を変えてしまったのだ。
真っ白いドレスを振り乱しながら叫ぶように歌い上げるその姿は、間違いなく少女の伝説の幕開けに相応しいものであった。
「??」、「!!」。全ての反応は彼女への賛辞。童顔で汚れのないベールをまとった少女の存在感は確実に人々を強烈に魅了していく。
そしてその年の3月、少女はJのプロデュースによってデビューした。元~~の話に意味も無く、当然その当事者達が一番嫌う表現ではあるとは知ってはいるが、それでもLUNA SEA、Foo Fighters、DANGIG、zilchと いった豪華なラインナップをキャリアに持つミュージシャンが名前を列ねた、ジャンル、国境、人種のカテゴライズを「却下」した衝撃的かつ革新的なキャスティングで彩られたデビュー・アルバムは早くもその夏にリリースされた。
おそらく現在までを俯瞰して、その中で胸をはって、声を大にして快哉を叫べる、from Japan「女性シンガーによる完膚なきまでのロック・アルバム」。
その後間髪を入れずににスタートした「FIRE WIRE 2001」。そう、前記したラインナップで宿命的に拡大していき、イカロスのように燃焼しきった「イベント=事件」。
全国でのTOURそれぞれで、少女はそこにおける全ての瞬間で重要なポジショニングを提示し、奇跡的なパフォーマンスで人々を圧巻し続けた。
余談ではあるが、今回のこの作品の曲順は、当時スタッフがちょっとしたこだわりを持って、「『FIRE WIRE』の後、本来行なわれるはずだったワンマンLIVEで披露されたであろう予想曲順」で構成されている(苦笑)。。。。
ラスト前に収録させていただいた『Someday』は当然、そのイベントの中でも毎回最も大きな反響をいただいていた壮大な名曲である。

2002年
前年の大きな反響から身をかわすように少女は新しい音楽スタイルに次々とチャレンジを続けた。ここ異国日本での自分の存在を`遊ぶ´ように大胆に。ビジュアルやデザインにまで及んで。
『FIRE WIRE2001』でTOURを共にしたギタリスト室姫深をプロデューサーに迎えた2ndアルバムでは、「カリスマ性で圧倒」した前作とは一転して、「同世代へ向けた近親性」のアピールまでも実現するくらい、少女の音楽的な幅は広がっていった。
その後、前記にもあるワンマンTOURが実現できなかったのは本当に悔いが残る。

「国籍」/「性別」/「ジャンル」。少女は全ての「壁」をそのあっけらかんとした笑顔で笑い飛ばした。
「システム」/「ビジネス」/「スタイル」。少女はそれらを遥か彼方に蹴っ飛ばす決意を持って、そうしたものとの一線を画し続けたのだが。。。。
少女は戸惑い、しかし奮起し、そして確固とした信念で屹立しながらその2年間を駆け抜けた。そこにいた人達全てにとって一生忘れられない宝石のような輝きをともなって。
ただ、残念ながら日本と韓国を往復する活動は、あまりにも少女を疲弊させてしまった。当時の両国の「音楽」に対する価値観は、決して今のような`近さ´になかった。返す返すも彼女は`早すぎた´存在であったのだと思う。
手をさしのべ合った時間は短かったが、音楽と情熱を通してその経験が残した感動は永遠だ。2枚のアルバム、5枚のシングル、1枚のDVD。。。。そうした貴重なアンセム、さらに点在していた名曲を一同にコンパイルしたこの作品を一聴していただければ、すぐにそれらの意義と価値は明らかなものとして皆様の心で響いてくれるはず。
現在も、少女は韓国で〈CHERRY FILTER〉という、同国では革新的にオルタナティヴなバンドで活動を続けている。
そう、少女は同国にあってその「夢」を完全に体現化した存在として君臨しているのだ。
あの2年間の日本でのプロジェクトはちょっとした「休眠状態」なのだと信じたい。「ロック史」という大きな括りのなかにおいても。
我々は、彼女と過ごしたその2年間(2001~2002)を永遠に忘れることはないであろう。
そして今、「歌っている」ミュージシャン達の中にも、同様の想いに支えられている方が多くいることも知っている。
これが、その少女=Youjeenの「未完」のストーリーである。

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