ノン・スタンダードという名前は、Non
standard analysisという数学の先端的なジャンルから来ている。非標準解析とは常識的ではないということだ。この世の不条理な、しかし無限の可能性を諮詢しているように感じたのだった。当時の日本は拝金主義が席巻しつつあったが、科学的思想が新次元に向かっていることは刺激的で、経済の枠に入り切らない潮流を肌で感じることができた。しかし現実は厳しい。マモン(Mammon)〜富の女神は、このころから魔物と化し、この世のあらゆるものを消費し尽くそうとしていた。当時ぼくは中澤新一と聖地を歩きまわり、ある種の不気味な感覚を通
して『地球』の意識に触れる体験をしたが、その後消費社会はその地球さえも喰いものにしていった。曰く、「地球に優しい‥」。このころからぼくはこの消費がとどまることを知らないということに気付き、『陰極まって太極となす』に習い、消費の加速を願うようになった。これが今でも自分の中で埒の明かないFriends
Of Earthの活動理由である。このF.O.Eの標語であるOTTはOver the topのことであり、
『やりすぎ』つまり消費の加速のことである。ノン・スタンダードに集まった人々はそんな雰囲気の時期に、簡単には消費されにくい音楽を作っていた。その結果
、ノン・スタンダードは長く続くことはなかったが、驚くべきことにその後の日本で『マモン』は翳りを見せ始めている。ノン・スタンダードをやっていた時代は多くの音楽家にとって苦しい道のりだった。しかし音楽をこよなく愛する彼等が、今でも意欲的に音楽活動を続けていることにエールを贈りたい。 |